新宿の伊太利亜市場BARランチ。冷えたピザをあえて食べる訳

ワイズテーブルコーポレーションの株主優待が使えるイタリアンレストランは、新宿駅周辺に密集している。サルヴァトーレ・クオモの新宿店、歌舞伎町地下街サブナード店、代々木店、そして伊太利亜市場BARの4店だ。

いずれも駅からちょっと離れた場所にあるが、歩いて行けない距離でもない。雨の日は地下街にあるサブナード店が便利な代わりに、ランチタイムはたいてい行列ができている。

今回はまだ行ったことのない、新宿三丁目の伊太利亜市場BARのランチブッフェを試してみた。久々の都心店舗だが、常連客ばかりで見たことのないほど熾烈なピザ取り合戦が繰り広げられていた。

サルヴァトーレ初心者の人は、レベルの高い伊太利亜市場より、のんびりした郊外店舗で練習を積んだ方がいい。駆け引きのタイミングが読めないと、冷え切ったピザにしかありつけないだろう。

ナポリピッツアを優雅に食すには、ピザ職人と同じくらい「客」としての品位やスキルが問われるのだ。

ネーミングの不思議

中身はまぎれもなくピザ食べ放題のサルヴァトーレだが、なぜここだけ漢字で「伊太利亜」という店名なのかわからない。六本木ヒルズ内の「毛利」サルヴァトーレみたいに別格扱いなのだろうか。

そもそも基本のSalvatoreにもPizzaがついたりBarがついたり、微妙なバリエーションが存在する。ピザ窯が本格派で職人のレベルが高いとか、アルコールのメニューが豊富だとか、何かしら意味はありそうだ。

博多にあるSalvatore Cuomo市場の説明を読むと、食材を吟味した「市場」スタイルの1号店とうたっている。「BAR」はワインやイタリア産リキュールの品ぞろえが多い業態と仮定すれば、店舗ごとの特色を反映したネーミングシステムにも見える。

しかし、今まで訪れた中でお酒の品ぞろえが多い聖蹟桜ヶ丘店はには「BAR」が付いていなかったりする。どのお店もワインは一通りそろっているとすると、ディナータイムに前菜やアンティパストの種類が多い「バール形式」という意味なのかもしれない。

新宿三丁目のここだけ「伊太利亜」と漢字なのは、ウェブサイトにも説明がなく一切謎だ。さらに市場BARは「ババア」という感じで発音しにくい。

ブッフェ+パスタ一品サービス

ランチブッフェは時間たっぷり90分制限だが、税込1,250円と郊外店よりはやや割高。立地的には伊勢丹デパートの裏あたりなので、まあ当然かなという価格設定だ。より駅に近いサブナード店だと同じ90分で1,280円。それよりは微妙に安い。

食べ放題のメニュー以外に、「本日のメニュー」から一品選んでつくってくれるというサービス付き。他のサルヴァトーレでいうと、ららぽーと立川立飛店と同じ形式だ。

ブッフェ以外にノルマのピザが配られると、それだけでお腹いっぱいになってしまう。食べ放題店なのに、わざわざ個別にメインディッシュを用意する必要はないと思う。

メニューを見ると5つの選択肢にピザはなく、スパゲッティかパニーニだった。最後の「サンドイッチ」にすれば、一番ライトで食べ放題に影響せずに済みそうだ。しかし、今回はめずらしそうなクリームソースのショートパスタを選んでみた。

惣菜は少ないがデザートは豊富

ブッフェコーナーに向かうと、生野菜のサラダバーやスープバーは標準的な品揃え。しかし、いつも楽しみにしているイタリア惣菜のコーナーが見あたらない。好物の「もちもちゼッポレ」もないのが残念だ。

どうやら伊太利亜市場の店内はかなり狭く、それほど料理を並べるスペースもないらしい。座席から料理やドリンクのコーナーに向かいのに、動線が短く済むのはよい。しかし満席近くまで混雑してくると、取りに行くのに数人待ちの行列ができる。

さすがにメインのピザは5皿も常備されているが、パスタは一品も見あたらない。その代わり、オリーブオイルをかけたガーリックトーストが置いてあった。デザートは取り放題のバニラアイスにヨーグルト、ゼリー、シフォンケーキと豊富に準備されている。

13時半くらいの時間に寄ってみたが、20人いるお客さんのうち男性は自分を含めて2人だけ。男女比1:10という不思議なお店で、見渡すと近くのショップの店員さんが遅めのランチをとりに来ているようだ。

女性を意識した品ぞろえ

デパート1階の化粧品コーナーからそのままやって来たような、黒ずくめユニフォームの女性グループ数名。無印良品っぽいカジュアルな女の子からスーツ姿のお一人様。みなバリバリ働いている風貌なので、ヒマなおっさんがまぎれていると肩身が狭い。

「女性率が高い=男性の視線を気にせずモリモリ食べられる」という穴場なのかもしれない。すると主食の炭水化物より、サラダやデザートの品ぞろえが多いのも納得がいく。

注文したショートパスタは、おどろくほどスモールサイズで拍子抜け。皿は大きいが、ほんの口直しという程度の盛りつけだ。

この量でわざわざ一人分を調理するのは手間だろう。だが、作り置きメインのブッフェ店で、茹でたてのパスタをいただけるのはありがたい。チーズと胡椒が多めの、カルボナーラっぽいクリームパスタ。量は少なめでもこってり濃厚な味付けで満足できた。

ブッフェを楽しみつつ割り当てのパスタも完食できるよう、序盤のペースを抑えていた。しかし、家族やカップルのグループ利用が中心のモール内立川店と違って、伊太利亜市場ではお一人様でも楽しめるよう、ボリュームに配慮されている。

  • パスタは作り置きとせず、個別に提供することで省スペース化
  • 女性客が多いので、量は控えめにして盛り付けはおしゃれに
  • ヘルシーなサラダやデザートの品数でにぎやかさを演出

そんな工夫を垣間見ることができた。

売れ残りピザの罰ゲーム

サラダやデザートのリピート率は高いが、なかなかピザの在庫が減らない。サルヴァトーレで売れ残った切れ端と、焼き立てピザの一切れでは価値が10倍くらい違う。

各皿に残った数切れは、どうやら遠慮のかたまりではなく「ババ抜き」状態であるようだ。しきりにピザコーナーに目をやって観察するが、誰も取りに行かずけん制し合っている。みなサルヴァトーレの常連で、焼き立てピザの希少価値を熟知しているようだ。

このままではニューピザがデリバリーされてこない我慢比べ。数少ないメンズの意地で、乾ききった回転寿司のような残り物を全部かっさらってきた。きっとイタリアにも「冷えピザ食わぬはウオモ(男)の恥」という格言があるはずだ。

トマト系はマリナーラだけで、あとはチーズ味が数枚。正直なところ、サルヴァトーレのチーズピザは、ハチミツがかかっているか否かくらいしか違いがわからない。田舎者としては、ピザにも札を立てて内容を説明してもらえると、理解が深まってありがたい。

マルゲリータは別格にうまい

時間的には14時をまわったあたりなので、厨房でもピザを追加で焼くか迷っている頃合いだろう。やっと残り物がはけたので、しばらくして待望のマルゲリータが補給された。

やはり焼き立てのこれを食べないと、サルヴァトーレに来た意味がない。予想通り、あっという間に人が殺到して、焼き立てのうちに取り尽された。下手に売れ残って冷めるより、作り手にとってもありがたい消費スタイルだろう。

待ち時間にデザートも一通り堪能して満腹気味だったが、ダメ押しで4切れほど口に詰め込んだ。生地は薄手なので、勢いで飲み込めないことはない。

チーズの塩気とトマトソースの酸味がモチモチした生地の上で絡み合うハーモニー。やはりナポリピッツアの中でもマルゲリータは定番かつ別格だ。残飯処理を引き受けてでも、焼き立てを待った甲斐があった。

その後、コーヒーを2杯飲んで最後にバニラアイスをリピートして締めとした。やはり制限時間が長いとゆっくり食べられるのがうれしい。食べ放題としては45分もあれば十分満足できるが、そこも客層を見て長めに設定してあるのだろう。

サブナード店より空いている

どの女子グループも、デザートやドリンクをリピートして結構粘っている。年齢層は違うが、平日の昼下がりに郊外のファミレスで見かける、おなじみの光景だ。

時間制限が長いせいか、お客さんの回転率は悪い。それでも13時以降なら常時2割くらいの空席率で、待たずに座れる。駅近のサブナード店は時間を遅らせてもランチの行列は必至なので、東口方面ならここまで足を伸ばす価値はある。

惣菜の種類が少なめなのは若干さみしい。ただし本格ピザ窯のないコンパクトなキッチンでも、料理のクオリティーはいつも通りだった。株主優待でナポリピッツアを手軽に味わえるチェーン店として、ぜひ活用していただきたい。

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