きちり優待「いしがまや」で、お一人様ハンバーグほぼ全部乗せ3千円

記事内に広告が含まれています。

きちりの株主優待は、単元株で年に1回3,000円のお食事券をもらえる。吉野家のように300円×10枚ではなく、1回こっきりの3千円。もちろんお釣りは出ない。

サラリーマンの日常ランチには使いにくく、年に一回セレブな気分を味わうためのプレミアムな株主優待といえる。しかも使用ルールが微妙に細かく、金土日曜、祝前日と12月は全日利用できない。年が明けたのでさっそく使いに行ったが、「金曜も利用不可」というのをうっかり忘れていたので危なかった。

高級ブランドのKICHIRIでコース料理でも頼めば3千円は軽くクリアできるが、持ちだし分も多くなる。関東圏では都心か埼玉にしかなく、夜間営業なので気軽にランチというわけにもいかない。郊外の系列店を調べて、ちょうどよさそうな「いしがまやハンバーグ」に行ってみることにした。

グランデュオ立川は平日でも行列

「いしがまやハンバーグ」の立川店は駅ビルのグランデュオ7階レストランフロアにある。先日ダイナックの株主優待で訪れた、ビュッフェスタイルのパパミラノの隣だ。

パパミラノの店頭にはペッパーがいて、奥のトイレに行こうとすると「ロボットだからって無視しないでくださいよ~」と絡んでくる。デパートというより、居酒屋とか飲み屋街に設置した方が可愛がられるそうだ。酔っ払いにすぐに壊されないように防具をつけたらいい。

子供の頃、「デパートと駅のレストランは高いので近寄ってはならない」と親からしつけられた。グランデュオ立川の高層階には、高級店に混ざってなぜか大戸屋が入居している。ランチでも他より3割くらい安いので、いつも行列で混んでいる。

しかし12時台のランチタイムに飲食フロアを尋ねたら、他の中華や牛タン屋、地味なそば屋まで5人くらい並んでいた。お店の前に椅子に腰かけているのは、ほとんど高齢者だ。

シニアには街中の路面店よりデパートのレストランの方が、なじみがあって安心なのかもしれない。駅直結のためバリアフリーで行き来できるのも都合がいいだろう。高齢化が進んで交通弱者が増えると、郊外型のショッピングセンターより駅周辺の商店街に人口が戻って来そうな可能性を感じた。

お一人様予算3千円

メニュー構成はシンプルで、ランチタイムは150gのプレミアムハンバーグステーキランチセット1品だ。名前にステーキと付くのでまぎらわしいが、名物の石窯で焼いたハンバーグである。1,080円という金額なのに「税抜」というのは気になる。優待利用の妙な縛りといい、きちりはCS重視でない、せこい会社なのだろうか。

よくよく考えると、同じハンバーグを食べるならランチセットを1,340円のダブルサイズ(300g)にして、トッピング全部乗せにサラダをフルサイズで頼むのがリーズナブルだったかもしれない。予算3千円なので、気前よくグランドメニューから360gの通常ダブルサイズを頼んでしまった。

トッピングほぼ全部乗せ

「いしがまや」にはハンバーグと同じ豪州産黒毛牛の「プレミアム切り落としステーキ」も存在する。グラム単価はステーキの方が高級だが、店員さんに聞いたらやはり店名を冠したハンバーグの方がおすすめとのことだった。どちらも「プレミアム」と付くが、他にレギュラー品質の安いメニューがあるわけではない。

金額を試算して、「プレミアムハンバーグステーキ」をダブルのスペシャルセット(パン・ミニサラダ・ソフトドリンク付き)に以下のトッピングを追加してもらった。

  • レッドチェダーチーズ 150円
  • 温泉玉子 150円
  • 焼きアボカド 150円
  • ジューシートマト 300円

他に和風おろし(150円)と目玉焼き(150円)を乗せればコンプリートだ。しかし他のソースや温泉玉子ともろにかぶる。ネタのためとはいえ、そこまでする必要はないかと思った。

立川店では提供されていないが、650円のフォアグラトッピングも存在する。他店で見かけたら試してみたい。

前菜スープのグレードが高い

3千円あればハンバーグとステーキのコンボはできないかと思いついた。店員さんに聞いてみたところ、ディナータイムなら「肉祭りセット」という、うってつけのメニューがあったそうだ。

事前のリサーチ不足だったが、あとで調べたら確かに中間価格のミックスがある。一人で優待券を使い切るなら「いしがまや」には夜行ったほうがいいかもしれない。

先に届いたスペシャルセットの付け合わせをいただく。サラダは普通だが、野菜高なので葉物をいただけるのはうれしい。ドリンクはピンクレモネードを注文したが、甘さと酸っぱさがちょうどよいバランスで食前にはぴったりだ。

スープは見るからに真っ赤でびっくりするが、素朴な味のトマトスープだった。ステーキガストの飲み放題ミネストローネほど塩気がなく、上品で高級な味がする。

盛り過ぎて皿に乗らない

「いしがまや」ではハンバーグの油はねが半端でないらしく、「ナプキンを上まで上げて1分ガードせよ」との指示がある。ブロンコビリーの「がんこハンバーグ」と同様に、お客さんの前で2つに切って断面を鉄板に押し付ける儀式があるのだろう。

ラージサイズで2個分のハンバーグが到着したのだが、トッピングを乗せすぎてテーブル上では「最後の仕上げ」ができなかったようだ。苦笑しながら、キッチンの方で最後の過熱をしてもらった。タイミングが重要なのか、時間計測用の砂時計まで持ってきてくれる。

その後、鉄板に乗り切らなかったとのことで、ポテトも1個別皿で運んできてくれた。大食い歓迎のファミレス型ステーキ店ならまだしも、デパートの上品なハンバーグ店で変な特盛りを頼む客もいないのだろう。

まわりはお肉好きな女子会的雰囲気のグループばかりだった。と思ったら、清楚なマダムが一人でパンケーキを平らげたあとに、ハンバーグを頼んで完食する離れ業をやってのけた。なるほど、おしゃれパンケーキとしっかりした肉料理を一度に楽しめるお店もめずらしいといえる。

写真はハンバーグが崩壊して食いさしのようだが、「焼き上がりまで1分待機中」の状態である。追加トッピングのチェダーチーズが乗って、焼きアボカドとジューシートマトが添えられている。温泉玉子も別皿だ。

柔らかすぎるハンバーグ

「いしがまや」では肉が柔らかいので、「お箸でお召し上がり頂く」スタイルらしい。しかし、ハンバーグが柔らかすぎてぽろぽろこぼれるので、ナイフ・フォークは不要だが、スプーンの方が食べやすいという印象だ。しかも下の鉄板が波打っているので、溝に落ちた肉片を拾うのが面倒くさい。

ハンバーグの肉汁も溝にたまってしまうので、スプーンですくってすすれないのが残念だ。しかし、肉汁というのはそれだけ飲んでも全然おいしくない気がする。むしろハンバーグが水っぽくならないように、あえて鉄板に凹凸をつけて肉汁を分離させるデザインなのだろう。ステーキのどんの1kg横綱ハンバーグも、網の上に肉が乗せられてきた。
ハンバーグはオーストラリアビーフ100%とのことで、ソースなしでも肉の旨味で食べられるほどだ。付属の和風ソースも悪くないが、若干醤油味が強すぎる。肉質が良いので、ブロンコビリー流に岩塩を振りかけるのがバランスよく感じた。

300円もするジューシートマトは、石窯焼きで旨味が凝縮するのか、単品でもなかなか食べごたえがある。ちょっと塩を振ると甘みが引き立ってさらにおいしい。これも箸で食べるのは一苦労だが、めずらしい一品なのでぜひトッピングをおすすめしたい。

アボカドは焼いてあるといっても生ぬるい程度。これに醤油味のソースをかけると、ハンバーグと関係なくおかずとして成立する。

黒毛牛は本物だった

360gのハンバーグに、ポテトもアボカドも山盛りなので1,000kcalは軽く超えているだろう。しかし丸ごとトマトにパンも完食した状態で、ハンバーグならまだ2~3個追加で食べられそうだった。

この1年、どんやステーキガストで優待駆使して1kg~食べ放題のハンバーグ修行をしてきた。ブロンコビリーでも最近は「がんこハンバーグ」ばかり頼んでいる。ステーキより重量当たりの単価が安いハンバーグの方が、カロリー的な満足度は高いといえる。

さてお会計はセットにトッピング税込みで3,261円。優待券は問題なく3千円使い切れて、残りはSuicaでOKだった。平日狙いだったが、うっかり金曜に訪れなくてよかった。ランチ3千円の自腹は痛い。

さすが石窯焼きの遠赤外線効果と黒毛牛だけあって、ハンバーグはどんやガストより高級な、ブロンコビリー・カウボーイ家族レベル。粗挽きのジュージーさはないが、柔らかさは一番といえる。スープのように、「スプーンで肉をすくって食べる」ことすら可能なレベルだ。

ランチタイムも他のお店よりは行列もなく空いていたので、駅ビルで「ちょっとがっつり食べたいとき」にはおすすめだ。値段は張るが、石窯焼きの柔らかさは一度試す価値がある。焼きトマト1個まるごとトッピングにも、ぜひトライしていただきたい