うかい株主優待~箱根ガラスの森美術館で連日パスタランチ

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東京の八王子付近で高級料亭を展開する株式会社うかい。株主優待は100株で年1回3,000円の食事券がもらえる。さらに追加で同社が運営する「箱根ガラスの森美術館」の入場券・飲食券を5枚もいただける。

通常の食事券は優待利回り1%以下と魅力にとぼしい。しかし美術館のチケットは持ち株数に関係なく毎年5枚もらえ、1枚およそ3,000円以上(トータル1.5万円)という高利回りに化ける。

うかい株主優待券

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問題は年に5回も箱根に足を運ばないといけない点だ。5人のグループで行けば1回で使い切れるが、ひとりで何度も行って優待消化するのはハードルが高い。

GW明けの閑散期を狙って箱根に1泊し、ガラスの森に連日通ってランチを満喫してみた。イタリアンの食事はサラダにパン付きでそこそこのボリューム。そしておまけと思っていた美術館の方も、なかなか展示は見ごたえがあった。

ガラスの森へのアクセス

ひとことで箱根と言っても、湯本から強羅の登山電車、その先の仙石原、大涌谷、芦ノ湖周辺までエリアは広い。観光名所も分散しており、歩けば数キロあるのでバスやケーブルカーを利用するのが一般的だ。道路が混まない時期なら、レンタカーでも借りて車でアクセスするのが一番楽だろう。

ガラスの森美術館は、強羅の先の仙石原エリアにある。彫刻の森美術館と名前がまぎらわしいので注意。公共交通機関を利用するなら、小田原、湯本、強羅からバスでアクセスするしかない。

今回は一泊して箱根全域を気ままに観光する予定だったので、小田原まで輪行して自転車で向かってみた。だいぶ遠回りになるが、旧東海道から坂を上った方が車が少なくて安全だ。

平日でもレストランは混む

ガラスの森の受付で優待券を見せると、入場券と交換してもらえる。優待券の方は、そのままレストランに持って行くと飲食チケットとして使える。

とりあえず展示より先に庭園を横切って目的のレストランに向かう。平日の遅い時間は人もまばらだったが、翌日のランチタイムに再訪したらほぼ満席だった。休日には行列ができそうなので、レストランでの優待消化が目的なら閑散期をおすすめしたい。

室内側とテラス席も含めるとキャパは広い。窓から庭越しに大涌谷の湯気を眺められるので、できれば庭側の席を選ぶのがおすすめだ。

レストランで優待券を見せると、パスタメニューかケーキ・ドリンクを選べると説明される。今回は2回ともパスタを選んで食べ比べてみた。

桜エビは不漁で品切れ

1,800円の「桜エビ」は残念ながら入荷待ち。静岡の駿河湾から仕入れているとしたら5月は旬のはずだが、今年は不漁と報道されていた。その代り同じ料金で「からすみのパスタ」が提供されていたので、まずはこちらを試してみた。

料理を待つ間、サラダとパン2個が届けられる。生暖かいパンは素朴な味わい。たびたびテレビで紹介される名物のクロワッサンは残念ながら対象外で、隣の棚に1個300円くらいで販売されている。

カラスミというのはあまり意識して食べた経験がない。パスタとあえた状態は数の子のような見た目だが、味はウニ並みに濃厚だった。味の濃い明太子ともいえる。高級珍味なので、ほかの食材と混ぜて食べるのはもったいなく感じる。

2日目は1,600円のボロネーゼを選んでみた。パンの種類は前日と変わらない。ボロネーゼは予想外に挽き肉の量が多い。パスタよりむしろこちらが主役の、肉料理ではないかと思えてしまう。チーズも多めで塩気が濃く、こってりした味わいだった。

こちらのパスタもからすみと同じく、量は控えめに100gくらいだった。メニュー表には特に大盛りオプションが書かれていない。パンもあるので一般的には十分といえるボリュームだが、せっかくここまで来たなら名物のクロワッサンでも頼めばよかった。

 

レストランでカンツォーネ公演

平日でも1時間ごとに、レストランでカンツォーネの無料公演が行われている。2日目は運よく公演時間に入店することができた。イタリア版の演歌というイメージで、特に身構えて鑑賞する感じでもない。食事中で手拍子もできないので、演奏後に拍手するくらい。

ラストはガラスの森のオリジナルソングで、これはエントランスで常にかかっている。連日訪れていると妙に耳に残ってしまった。気に入ったらCD・DVDも購入できる。

美術館の展示内容

食後にいちおう美術館の方も見学。庭園を囲んで企画展、常設展&ショップ、ジャムのお店が並んでいる。

企画展のスペースは予想外に広く、迷路のように入り組んでいた。ヴェネチアのガラス工房で、ピカソやシャガールと共同製作された作品が並んでいる。

ルーチョ・フォンタナの抽象的な作品や、ジャン・コクトーといった詩人とのコラボもあり、コレクションとしてはかなりのものだ。じっくり鑑賞すると1時間は楽しめる。

内装はラスベガスのシーザースパレスのようで、取って付けたようなイタリア感が鼻につく。チープなインテリアに反して、展示作品は超一流といえる。最近はSNSでの拡散・宣伝効果を狙っているのか、有名な作品でも写真撮影OKなところが多い。隣接するポーラ美術館の印象派展も同様だった。

ショップに併設された現代ガラス美術館の方は、さらに抽象度の高いミニマルアートという趣。一方で植物や貝殻を模した巨大なオブジェのコーナーもあり、バリエーションを楽しめる。

優待券の効率的な使い方

ガラスの森の入館料は大人1,500円なので、1,800円のパスタを頼めば優待券1枚で3,300円の価値がある。箱根が好きでよく訪れるなら、5枚ももらえるチケットはかなりお得といえる。

企画展は半年くらい長期開催されているので、それを目当てに再訪するもよし。期間限定のコンサートや、季節のイベントごとに来てみてもよい。箱根の観光スポットは多く、登山やハイキングも合わせれば何日でも楽しめる。優待利用をきっかけに箱根を開拓するのも楽しみだ。

パスタの量は並みサイズなので、1日でチケット複数枚使って何度か食べることも可能。飲食時間は11:00~16:30なので、ランチ後に展示を見てから再入店して、ケーキとドリンクで一服するのもありだ。中にはきっと、1人で1日に優待券5枚消化して帰る猛者もいることだろう。