ガスト復活の倍バーグにおびき寄せられた肉の亡者たち

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9月の三社合同定期券スタートとともに、矢継ぎ早にリリースされた倍バーグのキャンペーン。ごちガストまで併用できて、一体どこまでサービスすれば気が済むんだと不思議だったファミレスの最底辺ガスト。

10月にひっそりと定期券100円引きが終了してから、しばらくご無沙汰になっていた。ところが11月に入ってから、すかいらーくのアプリを開くたび、視界の片隅に見慣れた倍バーグのバナーが出現しはじめた。

「もう100円引きじゃないしな~」と迷っていたが、今回の期限は11/28まで。平日限定かつ17時以降の提供なので、来店するタイミングも難しい。大株主のスカイラーカーとしては、やはり系列店のキャンペーンはチェックして活況を見ておきたい。中身は9月と変わりなかったが、2か月振りに堪能したガストの肉祭りについて報告したい。

平日昼間のガストはすさんでいる

定期券の100円引きはそれなりに盛り上がったが、正直なところすかいらーく系列の中でガストの格付けは低い。500円ちょっとで日替わりランチを食べるなら、まだ夢庵やバーミヤン、あるいは魚屋路の握りを食べた方が幸せになれると思う。

ガストの日替わりは、ほぼワンコインでハンバーグかチキンにいくつかおかずが付いて来る標準構成。同じ日替わりでも、夢庵なら100円くらいアップする代わりに、ほうれん草のおひたしやコロッケも追加される。さらには無料でご飯をうどん変更できるから、コスパ的にはガストより上だ。

さらに店内の雰囲気を比べても、ガストの客層はマクドナルドに似通っている。同類として偉そうなことを言える立場でないが、昼間のガストやマックは行き場のない高齢者やニートの吹き溜まりに見える。昼間のバーミヤンはサラリーマンや労働者に人気で活気がある。魚屋路も粋なシニアが贅沢三昧、握りを楽しんでいる風景を見られる。

平日昼下がり、子連れ主婦の集まりもガストより夢庵に移りつつあるようだ。単価は多少高くなるが、ドリンクバーもあるうえ座敷でくつろげるのが便利らしい。夢庵にたむろする老人グループは、威勢が良すぎて騒々しいくらいだ。

総花的で物足りないガストの料理

メニュー的にはジョナサンと同じで、和洋中華にイタリアンと何でも楽しめるガスト。しかし、各料理の専門店に比べると味は劣る。ミートドリアはコスパが高く、リニューアルしたピザメニューも試す価値があると思うが、スパゲッティ―はレトルトのように味気ない。

肉類もステーキガストに比べればクオリティーが下がる。値段相応と言えるが、ガストのはバーグはたとえ100円で2倍になっても、それほどうれしい気がしない。思い切って注文してみた秋の牛タンメニューも、値段のわりにあまりにしょぼいサイズの肉片で、がっかりしてしまった。

ガストはもう料理の質で勝負できないとわかっていて、倍バーグや定期券のキャンペーンばかり打ち出してくるのだろう。定期的に飛び道具で花火を打ち上げなければ、お客さんに見向きもされない。ファミレス業界も、次第にロイヤルホストのようなワンランク上の業態に客足が移ってきている気がする。

ドリンクバーは終わっている

きわめつけは、ドリンクバーの質の低さだ。これはジョナサンやバーミヤンにも当てはまるのだが、すかいらーく系のドリンクバーはプラス100円でも注文する気がしない。特にコーヒーは、ここ数年サードウェーブとかスペシャルティーとか高品質なサービスが浸透したおかげで、消費者の舌が肥えてしまった。

年齢的なものもあるかもしれないが、缶コーヒーは無料でもらってもうれしい気がしない。それならコンビニの店頭で100円のコーヒーを淹れてもらった方がまだおいしい。イケアのコーヒーマシンはまだOKだが、ファミレスのドリンクバーはもう厳しい感じになってきた。

マシンの中身が尽きてくると、やたら薄いお湯みたいな液体を抽出してくる。たまたまジョナサンで入れたコーヒーが、カップの色から中身の異変に気づかず、お湯を飲んで吹き出しそうになった。

ソフトドリンクも味が薄くて飲む気がしない。もはやドリンクバーで安心して飲めるのは、玄米茶やハーブティーくらいのものだ。これらは自分で濃さを調整できるのでまだ安心。コーヒーが飲みたければ、家に帰って黒糖ミルク入りでも淹れた方がもっとおいしい。

9月と変わらない倍バーグ

別にガストが家から遠いわけではないのだが、同じ優待券を使うならどうしても他店に足が向いてしまう。ほとんど毎日ペースですかいらーくに通っているのに、ガストを訪れたのは定期券以来、1か月ぶりだった。

アプリのクーポンを見ると、めずらしくチキテキや和風ハンバーグが200~250円引きのセールになっていて、そちらの方が魅力的に見える。華々しく登場した新チーズINハンバーグも、11/28までアプリクーポンなら399円だ。

倍バーグのメニュー表は9月時点とまったく変わらない。表も裏も同じ内容で、中間価格帯のてりたまや大葉おろしを目立つ中央に。ワイルドプレートなど、挑戦する人も少なそうなふざけたメニューは脇に小さく記載されている。

今回は頼むのはプレーンな倍バーグステーキ。アプリ提示で50円引き、税込593円でいただける。たまにはライスやパンをつけてもいいかと思うが、下のセットメニューを見ると、どれもドリンクバーが付いていて気が進まない。もっと安いご飯やパンの単品もあったと思うが、別のメニュー表から探すのが面倒くさい。

シンプルな倍バーグステーキでも余裕で1,000kcalを超える。少しだけポテトやコーンも付いて来るから単品で十分だ。夜間にハイカロリーを摂取するのは気が向かないが、しっかりプールで運動してコンディションを整えてきた。運動後30分以内、プロテインの代わりにハンバーグを摂取する感じだ。

肉というより練り物に近い

わりと早く届いたダブルハンバーグ。コーンの黄色とソースの茶色で、賑やかな彩りに見える。相変わらず柔らかすぎるくらいソフトなハンバーグなので、ナイフもフォークも必要とせず、スプーンだけでサクッと食べられる。

ガストのハンバーグは、なぜかほとんど肉を食べている感じがしない。値段は倍くらいするが、ブロンコビリーの粗挽きハンバーグのような、脳が痺れる肉汁の旨味が伝わってこない。

何か工業的に合成されたような、練り物を食べている気分だ。ふわふわした均質な固まりは、豆腐やかまぼこに近いと思う。苦労して咀嚼する手間もなく、するするっと胃に収まって5分で食事が終了する。

カロリー摂取量に対して、あまりにあっさり食べ終わってしまうので、まだまだピザでも追加オーダーできそうな気分になる。ガストの倍バーグは、だいたい家に帰ってお茶を飲んだ頃からじわじわ効いてくる。いつものハンバーグくさいゲップが出て、朝まで続く。

食後の満足感はそれほどでもなく、徐々に胃の中で抵抗感が生じてくる。単に消化に悪いということだろうか。食感は柔らかいが、使われている油の量は相当あると思う。

それでもガストを愛している

何となく悪口ばかりになってしまったが、それでもガストが好きだから通うのだろう。うまい料理が食べたければ、素直に他店に行く。この店に期待するのは、コスパと量とカロリーだけだ。

今度はトリプルバーグとか、一体どんな企画で楽しませてくれるのだろう。味はともかく、次々出てくるキャンペーンのアイデアが楽しみなガスト。みなに蔑まれながらも、定期的に盛り上がって人気が出るネタ勝負のレストラン。世の中にはこういうお店があってもいいと思う。