株主優待で渋谷のコスプレレストラン「舞踏の国のアリス」に潜入

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ここを紹介するかどうかは迷ったのだが、株主優待でタダメシできるスポットとして取り上げてみようと思う。渋谷にあるダイヤモンドダイニング系列の「舞踏の国のアリス」だ。

DD系列は先日訪ねた新宿の「ベルサイユの豚」など、ネーミングに凝っているお店が多いと思ったが、舞踏の国はさらに予想の斜め上を行くワンダーランドだった。

渋谷のスペイン坂にある不思議の国

渋谷駅から少し歩いて、スペイン坂を上る手前にアリスがある。この界隈には10年住んでいたが、階段があって自転車が通れない路地なので、めったに利用することはない。

上りきったところに北川原温設計のシネマライズがあり度々お世話になっていたが、2016年に閉館してしまったようだ。ミニシアターらしく上映作品に当たりはずれがあるが、スタッフが軍服を着てコスプレしている変な映画館という印象があった。

表に出ているメニューは、ちょっとしたトーストに飾り程度の惣菜が載っているだけで1,000円もする。ウェブで調べて優待券が使えるお店とわかっていたのだが、おっさん一人で入るのはためらわれる雰囲気だ。

しばらくうろうろして不審な挙動をしていたが、ほかに渋谷で優待券を使えるお店も思いつかなかったので、勇気を出して入店してみた。装飾が施された長い階段を下りると別世界が広がっている。

店内の統一感はなかなか見もの

男爵風にコスプレした男性スタッフが、「ようこそ○○の○○へ」と威勢よく案内してくれたが、緊張してよく聞き取れなかった。平日だが、3組くらい女性グループの先客がいる。

ミラーボールやシャンデリアが吊るされたフロアはディズニーランドのようだ。目がくらくらするが、ここまで壁面を装飾で埋め尽くすのは大変かもしれない。椅子やソファーの調度品をとっても高価なアンティークではなさそうだが、自分が担当になったらどこで調達できるか皆目見当もつかない。

男爵とやり取りして、ドリンクなしで一番安い「つくば鶏の生ハムとお野菜のオープンサンドプレート」メニューを注文したのだが、一応ルール通りにいろんなセリフを挟んでくれる。

何となく以前、平日のハウステンボスに一人で行って、お化け屋敷風の脱出ゲームをスタッフとマンツーマンでこなした気まずさを思い出す。口では言わないが、心の中では「どちらも仕事で大変ですね、ご苦労様」という感じだ。

3分で食べ終わるローカロリーランチ

木のプレートに載せられて届いた謎の料理は、パンの上にレタスとマッシュルームを持ちつけた素っ気ないものだった。冷製スープはこくがあって悪くないのだが、ボリューム的には3時のおやつにも満たないくらいだ。

蝶々のようにシンメトリーに配置された生ハムは3秒で平らげた。

料理の見た目を楽しむなら、2段構えのアフタヌーンティーセットもよさそうだが、「イースターバニーがおもてなし」という説明に嫌な予感がする。これで2人前だと2,300円だが、盛り付けの工夫という観点からは「まるで卵レアチーズケーキ」など結構すごい技術に見える。

メイドでも執事でもない新ジャンル

伝票には丁寧にイラストが描かれていた。以前、秋葉原のメイド喫茶を知り合いと冷やかしに行ったことがあるが、全体的な仕組みは同じ感じだ。テーマ設定がメイドでも執事でもない不思議の国というところだろうか。これならその筋のオタクを自認するほどでない普通の観光客でも楽しむことができる。

同様に戦国カフェとか幕末レストランとか、無限のバリエーションを考えられるが、著作権や商標の縛りがなく、ニュートラルに受け入れられる題材としてアリスを選んだのだろう。

系列店にKAWAII MONSTER CAFEというのが原宿にあるが、ウェブサイトを見ると、こちらはもはや現代アートに近いつくり込みようだ。昨年USJのきゃりーぱみゅぱみゅライドに一人で乗ったが、あんな感じだろう。

次回来店で使えるパフェの無料券をいただいた。狭いアイスの上にネコやウサギが描かれた様子は職人芸のようである。

優待券が余ってももう一度行くことはないと思うが、こういうお店が渋谷にもあると知っておいて損はないだろう。子供を連れて行っても害はないお店だと思う。