ガストのベジ塩~ラーメン幸福論と株主優待による食生活改善

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ファミレスガストのラーメン…サイゼリヤに並ぶ国内最安系のファミレスで出てくる麺類とは、一体どんなゲテモノだろう。

正直、期待もしていないし、今まで一度も頼んだことがない。もっと安いミートドリアやマルゲリータピザの方が、割り切って楽しめそうに思う。日本国民にとってラーメンは特別な食文化なので、おのずから期待値も高まってしまう。下手なレトルト品を食べて、後悔したくない。

せっかく三社合同の100円引き定期券があるので、未知のガスト麺類にも挑戦してみることにした。選んだのは699円の「1日分の野菜のベジ塩タンメン」。同じすかいらーく系の中華ファミレス、バーミヤンの「国産野菜たっぷりタンメン」より、なぜか50円高い。バーミヤンで699円出せば、五目麺や担々麺など種類豊富に選べる。

「一日分の野菜」キャッチコピーの怪しさ

「一日分の野菜」というキャッチコピーは、どこが最初に始めたのだろう。コンビニで売られている野菜ジュースが早かった気もするが、外食業界ではリンガーハットが流行らせたようにも思う。

野菜ジュースのうたう「野菜一日分」というのは、濃縮還元前の材料を指していて、栄養価としてはまゆつばだというのが一般論だ。それでも野菜成分ゼロではないから、出張中、外食続きで野菜不足のときはお世話になる機会も多い。

一方、ガストのタンメンがアピールする1日分というのは、どこまで信ぴょう性があるのだろう。野菜ジュースの前に濃縮加工しているわけではないから、栄養価はそのまま保たれそうに思う。

リンガーハットの「野菜たっぷりちゃんぽん」は野菜だけで480gもあり、一日の目標摂取量は軽く超えている。むしろ二郎系のマシマシに近い盛り方なので、「こんなにモヤシとキャベツばっか食えねーよ」と嘆きたくなる。

キャベツより白菜が主役

ガストのタンメンはさすがにリンガーハットに及ばないが、そこそこ量は多かった。主原料がモヤシなのは他店と変わらないが、キャベツの代わりに白菜が多めに含まれている。少量だが、ニラやニンジンが入っているのもうれしい。ほじくれば豚肉も何枚か出てくる。

ベジ塩タンメンには、100円プラスで糖質控えめの「ほうれん草麺」に変更できるオプションがある。パスタのほうれん草入りはよくあるが、ラーメンの麺だとどんな感じだろう。

山手ラーメンのミドリムシ入りとも、また違った食感になりそうだ。799円とバーミヤンのチャーシューメンぐらい高くなるので、クーポンでも発行されたらまた挑戦してみたい。

ラーメンが高級化する理由

ラーメンは好きだが、歳をとるほど外で食べる機会が減ってしまった。たまに出張先で有名店に寄ってみる程度。普段、ファミレスで予算600円程度のランチを楽しんでいる身としては、デフォルト800円~みたいな東京のラーメンは高すぎる。

街中で優待券を切らしたら、せいぜい立ち食いソバで300円くらいのかけそばやざるそばを注文する程度。相対的に、はなまるうどんの小サイズはコスパが高いので、吉野家優待券がなくても自腹で払うことがある。

いつからラーメンがこんな高級料理になってしまったのだろう。そばやうどんという廉価な競合品におびやかされて、付加価値で勝負するハイエンドな業界に変貌したのかもしれない。

確かにスープの仕込みやチャーシューの製造には、他の麺類より手間がかかりそうに思う。立ち食いソバや牛丼と同じデフレの土俵で勝負していては、続けられなかったのだろう。

競争が激しい分、確かに昔より味が良くなり、バリエーションも増えてきている。どこの街でも地方色豊かな博多ラーメンや喜多方ラーメンを食せるのは、消費者としてうれしい限りだ。

株主優待で栄養バランス改善

他の麺類に比べるとラーメンは脂や塩分が多く、不健康なイメージを拭いきれない。せっかく大金を払った以上、スープも飲み干さないともったいなく感じる貧乏性なので、ますます罪悪感が増す。標準サイズのラーメン一杯、汁まで完飲すれば、塩分10gは軽く摂取できてしまう。

昔は天下一品に入店したら、ラーメンはこってりとあっさり両方食べないと満足できないくらいのラーメンマンだった。もちろん出されたものはすべて食べ切るのが、中国4千年の礼儀。味の違いはむしろスープの方なので、2杯とも飲み干さなければ意味がない。

当時は自炊のテクニックもなかったので、朝は食パン2切れ、昼・夜はスーパーの袋入りラーメン(PBの一番安い奴)というひどい食生活だった。たまに栄養を補給しようと、ラーメンに卵や納豆、ふえるわかめを入れるくらいは工夫していた。

インスタントラーメンを主食にすれば、1日の食費は200円もあれば済む。仕事中に外食するときは、コンビニで買える山崎のスイートブールというジャンボな菓子パンが定番だった。

あんな生活を続けていたら、21世紀まで生き延びることはできなかっただろう。株主優待を知ってから、ファミレスや寿司屋でバランスよく外食できるようになった。最新の優待情報を調べたり、店員さんとコミュニケーションをとったり、ボケ防止にも役立ち、生活に張りが出る。

食事券がもらえるという世界でもまれなガラパゴス利益還元の風習は、国民の福祉と健康増進に寄与している。もし飲食系の優待が全廃されたら、日本人の平均寿命が5歳くらい下がってもおかしくないと思う。

ラーメン幸福論

人間の幸せとは、「生きているうちにどれだけ感動的なラーメンと出会えたか」で決まると思う。

子どもの頃、海水浴でさんざん遊んでくたびれてから、海の家で食べた磯味漂う海鮮ラーメン…近所にあるけど臭いがきつすぎて、年に一回くらいしか親に連れて行ってもらえなかったスタミナラーメン…なぜか昔の幸せな思い出には、ラーメンがらみのエピソードがついてくる。

死ぬ前に食べておきたい料理を考えると、フレンチのコースや高級ステーキより、庶民的なラーメンを思いつく。臨終間際でもし胃が耐えられるなら、豚骨くさい桂花の太肉麺を食べて往生したい。

ざっくり試算して、結構なハイペースで食べても死ぬまでに食せるラーメンは、あと500杯くらい。間違ってコンビニのカップラーメンでも食べてしまった日には、「つまらぬものを食ってしまった」と後悔することだろう。

凡庸なラーメンを食べてしまって後悔するリスクから、どうしても選ぶ目が厳しくなる。新しくお店を開拓するより、安定した品質で提供してくれるなじみのお店に通う方が安心だ。

ベジ塩タンメンのトッピング強化案

そういうわけで、ファミレスの麺類を頼む頻度はどうしても減ってしまう。ただしラーメン専門店より値段が安いことは事実なので、コスパという観点から低価格の逸品を追求してみたい気持ちもある。

今回試したガストのベジ塩タンメンは、価格という意味ではそれほど魅力がない。700円近く払うなら、リンガーハットやバーミヤンの種類豊富なメニューの方が楽しめそうに思う。

ただ、ガストの中でこれほど野菜を摂取できるメニューも他にない。100円追加でほうれん草麺にしてもいいし、あるいは「ほうれん草ベーコン」のサイドディッシュを上に乗せてベジ度を強化してもよさそうに見える。

ここはファミレス特有の多国籍メニューを生かして、ラーメンの上にコーンやソーセージ、チキンとモッツァレラを乗せても楽しめそうだ。今ならフォンデュチーズソースという希少なトッピングまで存在する。チーズ味のベジ塩タンメン…きっとおいしいに違いない。